映画「I AM THE BLUES」は、アメリカ南部、特にルイジアナ・バイユー、ミシシッピ・デルタ、ノース・ミシシッピ・ヒル・カントリーといったブルースの聖地から生まれた大御所ブルース・ミュージシャンたちを追ったドキュメンタリー作品だ。この映画は、彼らの言葉や演奏を通してブルースの精神、その栄光と衰退、そして未来への希望を描き出している。
2017年のグラミー賞で最優秀トラディショナル・ブルース・アルバム賞を受賞したボビー・ラッシュをはじめ、バーバラ・リンやヘンリー・グレイなど多数のブルースミュージシャンが登場し、各人がそれぞれの言葉でブルースについて語り、即興演奏や貴重なセッションを披露する。ステージでの演奏から、地元のパーティー、庭先での即興演奏まで、彼らの日常に息づくブルースの姿が収められているのだ。
カナダ人のダニエル・クロス監督が3年以上の歳月をかけて完成させたこの作品は、各国の映画祭で批評家・観客ともに高い評価を受け、数多くの賞を受賞した。全米では公開館数を驚異的に増やし、話題となった。単なる音楽ドキュメンタリーに留まらず、ブルースが生まれ、育まれ、そして生き続けるアメリカ南部の風景や人々の暮らしに深く切り込んだ、魂の傑作と言えるだろう。


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