テキストエディタと統合開発環境、略してIDE(Integrated Development Environment)は、どちらもコンピューター上で文字を入力したり編集したりするためのソフトウェアですが、その目的と機能には大きな違いがあります。
まず、テキストエディタは、その名の通り、純粋なテキストファイルの編集に特化したシンプルなツールです。メモ帳やサクラエディタなどがこれにあたります。文字を入力し、保存する、という基本的な機能に重点を置いています。プログラミングで使われるテキストエディタも多く、そういったものは、コードのキーワードを色分け表示する構文強調表示や、行番号表示といった機能を持っていますが、あくまで「書く」作業を補助する役割が中心です。軽量で動作が速く、起動が早いという利点があります。有名なものにVisual Studio Code(VS Code)やSublime Textなどがあります。
次に、**統合開発環境(IDE)**は、プログラマーがソフトウェアを開発するために必要なあらゆるツールを一つに統合した、多機能なソフトウェアです。単なるエディタ機能に加えて、プログラムを機械語に変換するコンパイラや、プログラムを実行・検証するデバッガ、バージョン管理システムとの連携機能、コードの自動補完や構文チェック機能などが標準で搭載されています。つまり、コードを「書く」だけでなく、「テストする」「コン実行する」「エラーを探す」といった一連の開発作業を、この一つの環境内で完結できるように設計されています。代表的なものにはEclipseやIntelliJ IDEA、Visual Studioなどがあります。
簡単に言えば、テキストエディタが「高機能な鉛筆とノート」だとすると、IDEは「開発に必要なすべての道具と設備が整った専門の作業場」のようなイメージです。IDEは多機能な分、動作が重くなりがちで、比較的高いPCスペックを要求します。
どちらを選ぶかは、開発する言語やプロジェクトの規模によります。簡単なコードの修正や、ウェブページのマークアップ作業であれば、軽量なテキストエディタが適していますが、大規模で複雑なアプリケーションを開発する場合は、IDEの持つ高度なサポート機能が不可欠になります。

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