インターネットは、現代社会の基盤となる非常に重要な技術です。
🌐 インターネットとは?
インターネット(Internet)とは、「世界中のコンピューターネットワークを相互に接続した巨大な情報通信網」のことです。
- 語源: 「Inter(相互の)」と「Net(網)」を組み合わせた言葉です。
- 定義: 一つの大きなネットワークではなく、家庭、企業、学校、研究機関などの小さなネットワーク(LAN)や、これらを束ねる通信事業者のネットワークが、**共通のルール(プロトコル)に従って連携し合った「ネットワークのネットワーク」**です。
仕組みの基本要素
インターネットが機能するために欠かせない、基本的な仕組みを構成する要素は以下の通りです。
1. 通信プロトコル (TCP/IP)
インターネット上の全てのコンピューターが共通で使う**「共通言語」**であり、データの送受信ルールです。
- IP (Internet Protocol): データを相手の住所(IPアドレス)まで届けるためのルールです。
- TCP (Transmission Control Protocol): 送られてきたデータが欠けていないか、順番が間違っていないかを確認し、正確に再構築するためのルールです。
2. IPアドレスとドメイン名
インターネット上の全ての機器は、住所を持っています。
- IPアドレス: コンピューターやスマートフォンを識別するためのインターネット上の住所です(例:
192.168.1.1)。数字の羅列で機械的に処理されます。 - ドメイン名: 人間が理解しやすい**「名前」**の住所です(例:
google.com、example.jp)。 - DNS (Domain Name System) サーバー: ドメイン名とIPアドレスを自動的に結びつける(電話帳のような)役割を果たします。
3. ルーターとパケット交換
データは一度にまとめて送られるのではなく、細かく分割されます。
- パケット: 送信するデータを細かく分割した塊(かたまり)のことです。
- ルーター: パケットに書かれた宛先情報(IPアドレス)を見て、次の最適な転送先(経路)を判断し、データを送り出す交通整理役です。この仕組みをパケット交換と呼びます。
🌍 インターネットの歴史(簡略)
インターネットの原型は、1960年代後半にアメリカの国防総省の高等研究計画局(ARPA)で開発された**ARPANET(アーパネット)**という学術研究目的のネットワークです。
- 初期: 大学や研究機関同士が情報やコンピューター資源を共有するために利用されていました。
- 転換期: 1990年代初頭に**WWW(World Wide Web)**の技術(HTTP、HTML、URLなど)が提唱され、Webブラウザの登場と共に一般ユーザーに広く普及し始めました。
- 普及拡大: 1990年代後半のWindows 95の登場や、2000年代以降のブロードバンド(高速通信)、そしてスマートフォンの普及により、世界中の人々の生活に不可欠な社会基盤となりました。
インターネットは**基盤となる「道路」や「インフラ」であり、ウェブはその道路の上で提供される「サービス」**の一つと例えることができます。
🗺️ インターネットとウェブの役割分担
1. 🌐 インターネット(The Internet)
インターネットは、**世界中のコンピューターをつなぐ物理的・技術的な「ネットワーク全体」**です。
- 役割: コンピューターやサーバーなどの機器同士を接続し、データが送受信できる状態を作る基盤。
- 例え: データが行き交うための**「道路」「電話網」「郵便システム」**そのもの。
- 技術: IPアドレス、ルーター、ケーブル、TCP/IPなどの通信技術。
2. 💻 ウェブ(Web / World Wide Web: WWW)
ウェブは、**インターネット上で動く「情報共有システム」**の一つであり、私たちがブラウザで見ているWebページのことです。
- 役割: ハイパーリンク(リンク)を使って情報を相互に結びつけ、閲覧できる仕組み。
- 例え: 道路(インターネット)の上を走る**「トラック」や「自動車」で運ばれる「サービス」**(Webページ、動画、メール、アプリなど)。
- 技術: HTML(情報の構造)、HTTP(通信ルール)、URL(情報の場所)。
💡 その他のインターネット上のサービス
インターネットという基盤の上では、Webの他にもさまざまなサービスが動いています。
| サービス | 役割 |
| Eメール (SMTP/POP3) | インターネットのネットワークを使った電子メールの送受信。 |
| ファイル転送 (FTP) | インターネット経由でファイルをやり取りする仕組み。 |
| オンラインゲーム | インターネット接続を利用したリアルタイムな対戦や協力プレイ。 |
| ストリーミング | インターネット経由で動画や音楽を視聴する仕組み。 |
Webはインターネットの登場後に生まれ、その使い勝手の良さから最も普及しましたが、インターネットがなければウェブは存在できません。
ダークウェブはWWW(World Wide Web)に存在しますが、一般的なアクセス方法や検索エンジンからは隔離された特殊な領域です。
正確には、ダークウェブは以下の構造の一部と理解されています。
💡 ダークウェブとWWWの関係
- インターネット (The Internet):
- 世界中のコンピュータをつなぐ、最も大きな物理的・技術的な基盤(ネットワーク全体)。
- World Wide Web (WWW):
- インターネット上で動く情報共有システムの一つ。HTTPプロトコルを使い、ハイパーリンクで結びつけられた文書(Webページ)の集合体。
- ウェブの三層構造:
| 階層 | 特徴 | アクセス方法 | WWWとの関係 |
| サーフェスウェブ (Surface Web) | 一般的な検索エンジン(Google, Bingなど)で検索・アクセスできる部分。 | 通常のWebブラウザ | WWWの一部(表面) |
| ディープウェブ (Deep Web) | 検索エンジンではインデックス化されていないが、通常のブラウザでアクセス可能な部分。パスワード保護されたページ、有料コンテンツ、データベース内の情報など。 | URLを直接入力、またはログインが必要 | WWWの大部分 |
| ダークウェブ (Dark Web) | ダークネットと呼ばれる特殊なオーバーレイネットワーク(主にTor)上に存在し、専用のツール(Torブラウザなど)なしではアクセスできない部分。 | 専用ブラウザと設定が必要 | ディープウェブのさらに一部 |
まとめ
- ダークウェブは、WWW(Webページ)という形式をとっていますが、アクセスにはTorなどの特定の匿名化技術が必要です。
- そのため、ダークウェブは「検索エンジンでたどり着けない」ディープウェブの一部に分類されます。
- 一般の利用者が普段「インターネット」や「Web」として認識し利用しているのは、主にサーフェスウェブの部分です。
Tor(トーア)は、「The Onion Router」の略で、インターネット利用者の匿名性を高めるためのオープンソースのソフトウェア、およびそのネットワークシステムです。
Torの主な目的は、ユーザーの通信経路を隠し、誰が、いつ、どこから、どのサイトにアクセスしているのかを第三者から追跡されにくくすることです。
🧅 Torの仕組み:「オニオンルーティング」
Torは、その名前が示すように「玉ねぎ(Onion)」に例えられる多層の暗号化を使用し、データを匿名で送信します。この仕組みをオニオンルーティングと呼びます。
- 多重暗号化: ユーザーのデータは、玉ねぎの皮のように何重にも暗号化されます。
- ランダムな経路(サーキット): データは、世界中にボランティアが提供する数千ものリレーサーバー(ノード)の中から、ランダムに選ばれた最低3つの中継点を経由します。
- ガードリレー (Guard Relay): Torネットワークへの入り口。発信元(ユーザー)のIPアドレスを知っているのはこのノードのみです。
- 中間リレー (Middle Relay): 通信を中継し、他のリレーの情報から切り離します。
- 出口リレー (Exit Relay): Torネットワークの出口。最終的なアクセス先(Webサイト)と直接通信します。Webサイト側から見えるIPアドレスは、この出口リレーのものです。
- 逐次復号化: 各リレーサーバーは、自分に割り当てられた暗号の層を1枚だけ剥がす(復号する)ことしかできません。そのため、出口リレー以外はデータの内容を知ることはできず、入口リレー以外は発信元を知ることもできません。
この多重の暗号化と経路の分散により、通信の追跡が非常に困難になります。
🛡️ Torの主な用途
Torは、単に違法な活動のためだけでなく、正当な目的で幅広く利用されています。
- プライバシー保護: 一般ユーザーが、広告トラッカーやインターネットサービスプロバイダ(ISP)、監視者などから自身のオンライン活動を隠すために利用します。
- 検閲回避: 政府によるインターネット検閲が厳しい国において、制限された情報やニュースサイトに安全にアクセスするために利用されます。
- ダークウェブへのアクセス: Torネットワーク上に構築された、
.onionドメインを持つダークウェブのWebサイトにアクセスするために使用されます。

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