映画「グレン・ミラー物語」は、伝説的なバンドリーダーでありトロンボーン奏者であるグレン・ミラーの波乱に満ちた生涯を描いた伝記映画だ。彼の音楽への情熱、成功への道のり、そして第二次世界大戦中の悲劇的な最期までが綴られている。
物語は、グレン・ミラーがまだ無名のミュージシャンだった頃から始まる。彼は常に新しいサウンドを追い求め、妻ヘレンの献身的な支えのもと、苦労しながらも自身のビッグバンドを結成する。そして、彼の生み出した独特のハーモニーとスウィングのリズムが、やがて世界中を席巻し、一世を風靡するバンドへと成長していく過程が描かれる。
第二次世界大戦が勃発すると、ミラーは自身のバンドを解散し、陸軍航空隊に入隊する決断をする。彼は軍隊内でバンドを結成し、兵士たちの士気を高めるために演奏活動を行うのだが、ヨーロッパ戦線へと向かう飛行機の中で消息を絶ち、その若すぎる命を散らしてしまうのだ。
主演はジェームズ・スチュワートで、グレン・ミラーの誠実で真面目な人柄を好演している。妻ヘレンを演じたのはジューン・アリソンだ。この映画の大きな魅力は、何と言ってもグレン・ミラー楽団の数々の名曲が劇中で演奏される点だ。「イン・ザ・ムード」「ムーンライト・セレナーデ」「茶色の小瓶」など、時代を超えて愛される楽曲たちが、映画の感動を一層深めている。
1954年に公開された本作は、アカデミー賞の音響賞を受賞し、音楽映画の傑作として高く評価されている。グレン・ミラーの音楽が、いかに時代を超えて人々の心に響き続けるか、そして彼の遺した功績がいかに偉大であったかを伝える、感動的な作品である。
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